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学問楽(ガクモンガク)

学問はエンタメだ!

サプリメントで健康被害~食品安全委員会が注意を呼びかけています~

公開講座レポート

「天然だから安全」「サプリで元気に長生き」「薬じゃないから、いくら食べても大丈夫」――これらはみんなウソです。

健康に役立つとうたう「健康食品」が、たくさん売られています。けれど実際には、健康食品で健康被害が出ることもあります。

健康食品で健康を害さないために、私たちはどうすればいいのでしょうか? 今回は、食品安全委員会が発信した「健康食品に関するメッセージ」の説明会に行ってきました。

いつもの学問紹介とはちょっと違いますが、学びをいかにして社会で役立たせるかを感じてもらえればと思います。

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ざっくりひと言解説(これだけは覚えて!)

  • (薬を含めて)不老長寿の食品はない
  • 食べてやせる食品は、有害物
  • 天然・自然なものも、「安全」ではない
  • 現在の日本のような食事ができている国では、ビタミン・ミネラルのサプリメント補給は健康にプラスの作用をもたらさない

そもそも何の話?(5W1H)

「健康食品に関するメッセージ」とは、食品安全委員会が、健康食品による健康被害を防ぐことを目的として、2015年12月に発表したものです。webに公開されていて、健康食品のリスクや摂るかどうか判断するためにチェックすべき基本項目が書かれています。

先日(2016年1月28日)このメッセージの説明会が開催されました。このレポートでは、説明会の内容を凝縮してお届けします。

健康食品とは?

今回対象とされた健康食品は、健康やダイエットに役立つことをうたって販売されている商品です。トクホなども含みます。なお、カプセル・錠剤・粉末・顆粒状のサプリメントを中心に議論されています。

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メッセージのエッセンス

健康食品は、安全性や有効性が確立していない
多くの人を対象にして、長年にわたり、複数の研究機関が調査した客観的な評価がなされていないのです。つまり、科学的に確かとは言えないものです。

通常の食品も、安全とは限らない
健康食品に限らず、通常の食品にも健康被害を引き起こす可能性があります。リスクはゼロではありません。

しかし通常の食品は、長年食べてきた方法で常識的な量を食べる限り、健康被害を引き起こすことはほとんどありません。健康食品は、こうした食経験がないため未知数です。

食品のリスクとは?
【通常の食品リスク】

一般的には量の問題。例えばジャガイモのソラニンや、キュウリのククルビタシンなど。

【健康食品に特有のリスク】
健康食品には、通常の食品リスクに加えて、健康食品の特性からくる3つのリスクがあります。

  • 製品の問題…製品そのものに由来するもの。
  • 摂取者の問題…摂り方や目的、健康状態などに由来するもの。
  • 情報の問題…不正確な情報の氾濫や、正確な情報の不足に由来するもの。

多量に摂ると健康を害するリスクが高まる
サプリメントはその形状から、過剰摂取になりやすいので注意が必要です。

長期間摂った場合の安全性は正確にはわかっていない
健康食品に限らず、通常の食品も、同じものを長期間毎日撮り続けたときの安全性は、わかっているものがほとんどありません。

また、過去に効果があるとされたものでも、長期試験の結果、評価が変わることがあります。例えばビタミンやミネラルは、かつて疾病予防が期待されていましたが、現在の長期試験では、予想に反する結果が多くなっています。

健康食品だから安全ということではない
健康食品は、安全性や有効性の評価がされていないものがほとんどです。

トクホはこれらの評価がなされていますが、それでも「決まった量・摂り方・期間」など、限られた条件のもとでの結果に過ぎません。

「天然・自然・ナチュラル」は安全を意味しない
天然の毒物もたくさんあります。また、健康食品に使われる原材料は、適切に管理されていない場合があります。安全をイメージさせる宣伝文句には注意してください。

特に天然・自然の食品由来成分を原料とする健康食品は、アレルギーの原因になりやすいという情報があります。

健康食品として売られている無承認無許可医薬品に注意
医薬品成分を添加しているものは違法です。

ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクがある
現在の日本人の食生活では、ビタミン・ミネラルの欠乏を起こすことはあまりありません。サプリメントを摂る必要性を示すデータはなく、むしろサプリメントによる過剰摂取が懸念されます。

特に注意が必要なのは、必要量と過剰量との差が少ないセレンや鉄、体内に蓄積しやすいビタミンA、Dなどの脂溶性ビタミンです。

なお、カルシウムや鉄などは摂取不足が懸念される人が相当数存在するように見えますが、必要量には個人差があります。また、自分が食事からどれだけ摂取しているかを知るのは難しいので、自己判断は過剰摂取につながる可能性があります。

健康食品は品質の保証がない
健康食品は、医薬品並みの品質管理がされていません。健康食品の製造管理は、製造者の自主性に任されています。

同じ製品でも成分が異なったり、体内でうまく溶けなかったり、重金属などの不純物を含んでいる事例があります。

健康食品は多くの場合、健康な成人が対象
幼児・妊婦・病人・高齢者の安全性は調べていません。トクホも同じです。

病人が摂ると症状を悪化させる健康食品がある
健康な人には問題がなくても、病気の人には悪影響を及ぼすことがあります。特に肝臓、腎臓の疾患がある人は注意が必要です。

薬を服用している場合は、健康食品を併せて摂る前に医師・薬剤師のアドバイスを受ける
相互作用によって、作用が増幅して副作用につながったり、薬の治療効果が出なかったりします。自己判断しないでください。

健康食品は薬の代わりにならない
健康食品は医薬品ではありません。トクホも、病気を治すものではありません。病気治療中の人は、原則、健康食品を摂らないでください。薬の服用を止めると、病気が悪化する恐れがあります。

ダイエットや筋力増強効果をうたうものは、特に注意
人での安全性が実証されているダイエット用食品はほとんどありません。食べてやせる食品は、有害物です。仮に何か効果があるものは、安全面のリスクが高いものです。

健康寿命の延伸(元気で長生き)の効果を実証されている食品はない

健康情報が科学的に正しいか、見極める
体験談や学会発表は、安全性・有効性を示す根拠にはなりません。健康情報の信頼性は、5つのステップで評価してください。

  1. 体験談などではなく、具体的な研究に基づいているか。
  2. 研究対象は、動物や細胞ではなく人か。
  3. 学会発表ではなく、論文報告か。
  4. 試験設計は、ランダム化比較試験(※1)やコホート研究(※2)か。
  5. 複数の研究で支持されているか。

(※1)ランダム化比較試験:対象者を無作為に2つのグループに分けて、一方には健康食品を与えず、他方には摂取してもらい、効果を調べる方法。
(※2)コホート研究:ある集団を数年~十数年にわたって追跡調査して、病気の原因となる可能性のある要因(健康食品の摂取、喫煙・飲酒などの生活習慣、食生活、血液データなど)との関連性を調べる研究法。

なお、食品安全委員会や厚生労働省は、健康食品の危害情報をインターネットで提供しています。また、国立健康・栄養研究所は、健康食品の基礎知識や有効性を掲載しています。(下部「関連リンク」に掲載)

健康食品を摂るかどうかは、わからない中での選択になる
健康食品の情報のほとんどは、製造・販売業者から提供されています。被害の実態はつかみにくく、危害情報は消費者に伝わりにくくなっています。

健康食品を摂るなら、詳細なメモを取る
健康食品を摂ると決めた場合、「何を、いつ、どれぐらい摂ったかと、効果や体調」を記録してください。そして体調に気をつけてください。ハードルが高くなりますが、それぐらい意識を変えてください。

年月日製品A製品B体調、医薬品の併用
×年×月×日 2粒×1回 摂らず 体調良い。薬C併用
×年×月×日 摂らず 1粒×3回 体調は変わらない
×年×月×日 2粒×1回 1粒×3回 発疹が出た

健康食品で体調が悪くなったら、摂るのを止める
体調が悪くなったら、まずは健康食品を摂るのをやめて、因果関係を考えてください。そして医者に相談してください。

以上です。

なお、掲載内容は説明会の内容と報告書から抜粋・編集したものですが、一部私の言葉に変えていますし、相当はしょっています。内容には気をつけていますが、私の理解の限界があります。そのため、詳細は、情報発信元である食品安全委員会が公開している報告書を読んでください。

講演タイトル:いわゆる「健康食品」に関する説明会
スピーカー :いわゆる「健康食品」に関する検討ワーキンググループ座長 脇昌子、食品安全委員会事務局 評価情報分析官 池田三恵
開催日:2016年1月28日
主催 :食品安全委員会

【おすすめのサイト】
FOOCOM.NET(科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体)
食品安全情報blog

【おすすめの書籍】

「健康食品」のことがよくわかる本

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  • 作者: 畝山智香子
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2016/01/12
  • メディア: 単行本
 
食品を科学する―意外と知らない食品の安全

食品を科学する―意外と知らない食品の安全

  • 作者: 食品の安全を守る賢人会議
  • 出版社/メーカー: 大成出版社
  • 発売日: 2015/05/23
  • メディア: 単行本
 

【関連リンク】
「健康食品」に関するメッセージ(内閣府 食品安全委員会)
健康食品に関する危害情報(食品安全委員会)
「健康食品」のホームページ(厚生労働省)
「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)

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