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「いのち」は誰が決めるのか『はじめて学ぶ生命倫理』

もしあなたが医者だったとして、こんな患者が現れたらどうするだろう?

痛み止めの効かなくなったガンの末期患者。余命はあと数日だ。患者はあまりの激痛に震える声で、「この苦しみにはもう耐えられない、死なせてくれ」と懇願している。

安楽死を求める患者に、あなたはどう対応すればいいのだろう?

はじめて学ぶ生命倫理: 「いのち」は誰が決めるのか (ちくまプリマー新書)

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生きることを丸ごと肯定する『生き延びるための思想』

生き延びるための思想 新版 (岩波現代文庫)

『生き延びるための思想』というタイトルを目にしたとき、「そんなのあるの?」と思った。これ、宗教の本じゃないよ。フェミニズムの最前線を走ってきた上野千鶴子による論考集。
教授が書いた論文だから難しいかな、と思いつつ序章を読んでみる。

もしフェミニズムが、女も男なみに強者になれる、という思想のことだとしたら、そんなものに興味はない

あれ? 違うのけ? そんな私の疑問を見透かすかのように、上野はこう続ける。

わたしの考えるフェミニズムは、弱者が弱者のままで、尊重されることを求める思想のことだ

そして女性兵士を例に挙げ、わたしたちは「暴力への男女共同参画」という難問の前に立たされている、さぁ、どうする、と問う。

難しくない、私にもわかるじゃん。しかも、おもしろそう!

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きみは一線を越えられるか?『果てなき渇望-ボディビルに憑かれた人々』

ボディビル

仕事中にもかかわらずジムに行き、筋肉バカの無能社員というレッテルを貼られたボディビルダーは言う。

一種の病気、筋肉鍛錬依存症ですね。(中略)社会性のなさなどは、それだけ自分がトレーニングに没頭しているという勲章ですよ


別のボディビルダーはドーピングを肯定し、こう豪語する。

ドーピングを禁止するというのは、根本的に間違っています。(中略)ボディビルダーが凄さを追求するのに、ルールなどは全く必要ありません


そうまでして彼らが手に入れるのは、一般的にはグロテスクと敬遠されるほどの過剰な筋肉の塊だ。彼らの美学とは何なのか?『果てなき渇望-ボディビルに憑かれた人々』 は、一線を越えられる人間の美学を垣間見られる、重厚なノンフィクションだ。

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