きみは一線を越えられるか?『果てなき渇望-ボディビルに憑かれた人々』

ボディビル

仕事中にもかかわらずジムに行き、筋肉バカの無能社員というレッテルを貼られたボディビルダーは言う。

一種の病気、筋肉鍛錬依存症ですね。(中略)社会性のなさなどは、それだけ自分がトレーニングに没頭しているという勲章ですよ


別のボディビルダーはドーピングを肯定し、こう豪語する。

ドーピングを禁止するというのは、根本的に間違っています。(中略)ボディビルダーが凄さを追求するのに、ルールなどは全く必要ありません


そうまでして彼らが手に入れるのは、一般的にはグロテスクと敬遠されるほどの過剰な筋肉の塊だ。彼らの美学とは何なのか?『果てなき渇望-ボディビルに憑かれた人々』 は、一線を越えられる人間の美学を垣間見られる、重厚なノンフィクションだ。

続きを読む

『サヨナラ、学校化社会』~学校化社会の「勝ち組」に明日はない!~

サヨナラ、学校化社会 (ちくま文庫)

 四流大学から一流大学まで、さまざまな教壇に立ってきた上野千鶴子が学校的生き方を斬る!『サヨナラ、学校化社会』 はそんな本だ。

教授が生計の場を斬っていいの? と思うかもしれないが、これが逆説的に、学校で何を学ぶべきかがわかる内容になっている。

続きを読む

非婚ですが、それが何か?

非婚ですが、何か?

男20.1%、女10.6%――これは日本の生涯未婚率の割合。日本では、一生結婚しない人が増え続けている。その結果、出生率は低下し続けている。

50年前の1960年代は、ほぼ全員が結婚していた。日本はわずか一世代で晩婚・非婚社会に変わったのだ。出産適齢期の男女にいったい何が起きたのか? これに対する処方箋はあるのか?

今回のレポートは、フェミニズムの論客であり、社会科学者である上野千鶴子氏の講演です。

続きを読む

誰に向かって、今なぜ、この記事を書くのか?

アフロヘアの記者

「大阪社会部記者はこうしてアフロになりそして次を目指す~次世代の報道実務と現場~」という講演タイトルを目にしたとき、その人の顔がすぐに頭に浮かんだ。

稲垣えみ子氏。「アフロヘアの朝日新聞編集委員」と言えばピンとくる人は多いだろう。

私は稲垣氏の言説にそれほど触れているわけではないのだけれど、「次世代の報道実務と現場」というサブタイトルに興味が湧き、早稲田大学ジャーナリズム大学院で開催された報道実務家フォーラムに行ってきた。

続きを読む

いじめ問題を考える(後編)

いじめ防止の主体は子どもでなければ効果がない

辰沼(たつぬま)キッズレスキュー

日本で銃犯罪が少ないのは、銃が出回る環境にないからだ。いじめも同じように「いじめが起きにくい環境」をつくることができれば減らせるはず。

そう語るのは、足立区立辰沼小学校の仲野繁校長。実際、自校で「辰沼(たつぬま)キッズレスキュー」という子ども主体のいじめ防止活動を作り、いじめが起きにくい環境づくりに成功した人物だ。

続きを読む