はじめの一歩を笑ってはいけない

アートイベントで起きたジェンダー論争について、「普段はジェンダーについて考えたことがない者の言説が浅すぎる」と非難する者をみかけた。

なぜマウントする必要がああるのだろう。

誰にでも初めの一歩がある。

これまで無意識・無関心でいたことがらに、何かをきっかけにして考えて発言したとしよう。研究者や常連からすればその人の発言は、知識の堆積がないだけに確かに浅いものに感じられるかもしれない。

でも、それを「浅い」と非難したら、その話題に参入してくる者はいなくなってしまう。

非難された人はもうそれ以上、その話題について語ることをやめるかもしれない。考えることを放棄するかもしれない。

そんな状況を目にした周りの人間は、「なんだか怖い人たちが偉そうにしている世界だな。近づくのをやめよう」と思って、その話題に触れなくなるだろう。

研究者よ、常連よ、それでいいのか?

誰にでも「はじめの一歩」がある。研究者や常連のあなたにもあったはずだ。

はじめの一歩を笑ってはいけない。