大学ランキングを信じるな!『つまずかない大学選びのルール』

つまずかない大学選びのルール

面倒見のよい大学?
 →本当は中退率30%

就職に強い大学?
 →実際に就職できるのは学生の50%

グローバル人材を育てる大学?
 →4年間で英語力がむしろ下がってしまう

こんなキャッチコピーが帯に躍る『つまずかない大学選びのルール』 。こんな言葉を目にしたら、これから大学を選ぼうとしている人は、心穏やかでいられないに違いない。

帯のインパクトはすごい。でも、ちょっとずるい

著者の山本繁は、日本中退予防研究所という組織を立ち上げた人で、この本は高校生に「不幸な大学選びをしてほしくない」という思いから書かれたもの。

冒頭に紹介した帯の言葉は、著者が実際に目にしたケースだという。でも残念ながら、読者が検証できるようなデータは載っていない。だからどこの大学の話なのかもわからない。

「なーんだ」

と、コピーにひかれた人は思うかもしれない。が、しかし。もしあなたが大学受験を控えた高校生か、あるいはその親ならば、大学を選ぶ前に、この本を読むことをすすめたい。

大学選びの新ルール

この本は、これまで“常識”と考えられていた大学選びの基準を疑い、間違いを指摘する。そして新しいルールを提示する。

今までのルール新ルール
偏差値で大学を選ぶ 教育力で大学を選ぶ
就職支援に力を入れている大学を選ぶ 就職するためには教育に自信のある大学を選ぶ
やりたいことで大学を選ぶ 「やりたいこと」がどう転ぶかも想定しておく


などなど。もちろん、なぜ偏差値で選んではいけないのか、教育力とは何か、教育に自信があるとはどういうことかといった説明もしている。

雑誌やネットの大学ランキングに頼って大学を選ぶということは、価値判断を相手に丸投げするということ。そんなことで自分に合った大学を選べるわけがない。

しかも、相手に丸投げする姿勢そのものが、大学での「学び」に反する。大学は先生に何かを「教えてもらう」ところではない。教えてもらうのは高校までの勉強で、大学での勉強は自ら「学ぶ」ものだからだ。

この本は大学選びの新ルールを提示したうえで、自分にとっての「良い大学」を見つける方法を解説している。自分に合った大学を、自分の価値基準で選びたいなら、読んで損はない。

つまずかない大学選びのルール

つまずかない大学選びのルール

  • 作者: 山本繁
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2013/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • クリック: 5回
 

【関連記事】
眉間にシワのよらない大学論『大学の話をしましょうか』
読み書きそろばんができない大学生のための『大学破綻』